idea factory from newspaper 2003 8 2

新婚時代の終わり(alteration of financial policy)
 今は昔、財務省が大蔵省と呼ばれていた頃、
大蔵省は経済官庁にも近いにもかかわらず、
法学部出身者を採用し続けました。
 しかし、金融部局に配属された官僚は、法学部出身者であるので、
複雑で高度な金融システムは理解できませんでした。
 そこで、見かねた銀行は、なんとかしようと、考えました。
さっそく、銀行は、行内で、優秀な人材を探し、
その人材を、官僚の教育係兼接待係に命じました。
こういう人材を業界用語で呼ぶ呼び方はありますが、
一般的ではないので、ここでは、使いません。
この教育係兼接待係は、官僚の教育と官僚の接待に努力しました。
こうして、官僚は、銀行から派遣された教育係兼接待係によって、
一流の金融行政マンに育っていきました。
 しかし、官僚は、育ての親に対する恩は忘れず、銀行の色がつきました。
金融行政のアイディアに困れば、
また金融行政の難問にぶつかると、
この教育係兼接待係にアイディアを捻出させました。
官僚は頭がいいので、やがて、教育係兼接待係を知恵袋にもしました。
一人三役ですね。
こうして、銀行は、官僚を一流の金融行政マンに育てましたが、
下心もありました。
 さて、現代、金融行政の透明化が求められる時代、
いろいろな変化の兆しが見えてきましたね。
 そもそも、経済官庁に類する官庁に法学部出身者を採用し続けるのは、
不思議だったのです。経済学部出身者を採用すべきだったのです。
 さて、このような教育係兼接待係は、生命保険会社にもいました。
こちらの方は、あまり脚光があたりませんでしたが、
そのお陰か、かつての金融スキャンダルの際は、不問とされました。
 しかし、官僚だけが悪いのではないのです。
これをもっと、ひどくしたのが、大臣制度です。
まったく、政策もなければ、専門知識も何もない人が大臣になるから、
今度は、官僚の方が、優秀な人材を探して、
その人材を、大臣の教育係兼接待係に命じました。
この教育係兼接待係は、大臣の教育と大臣の接待に努力しました。
こうして、大臣は、ボロを出さず、なんとか「見かけは大臣」になるのです。
 要するに、銀行が官僚にしたように、
今度は、官僚が同じような方法で、大臣を教育したのです。
 結局、問題点は、官僚も大臣も、専門知識がない者を、
その職に就けたから、こういう問題が起きたのです。
官僚の方は、努力して、教育係兼接待係を不要としてきました。
大臣の方は、相変わらず、教育係兼接待係が必要です。
 今後も専門知識がない者を大臣にするならば、
相変わらず、教育係兼接待係が必要で、
これでは、大臣の名誉職化がさらに深刻になります。
大臣は、名誉職でいいのでしょうか。
しかし、これでは、大臣は不要となり、
首相と事務次官で、政府が運営できます。
いや、事務次官と言えども、全能ではありませんので、
首相と局長、首相と審議官で、政府が運営できます。
大臣を全部リストラしても、政府が運営できる可能性があります。